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天才芸と名人芸
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深夜、NHKでやっていた立川談志の特集を見る。

僕は子供の頃から池袋演芸場に出入りしていたので、落語歴はずいぶん長い。
たまに新宿の末広亭に連れて行ってもらうのは、僕にとっては他の子供が後楽園遊園地に
ウルトラマンショーを見に行くのと同じような楽しみだった。
小さんも志ん朝も圓鏡も何度か噺を聞いてきたが、談志の落語は聞いたことがない。
昨晩は「へっつい幽霊」と「芝浜」をノーカットで聞くことができて、なかなか満足であった。

噺家の世界には、その噺について「名人」と呼ばれる人が何人もいる。談志の芝浜も名人芸と
言われているのは知っていた。だが天才の噺というのはやはりどこかが違うようで、談志の
噺は僕には滑舌の悪い、聞きづらいものでしかなかった。

もちろん芝浜を演じる談志は人情噺に相応しい雰囲気をたっぷりと醸し出していた。
だが、およそ流暢とは言えない話しっぷりに付いていくのがやっとで、味わうどころでは
なかったのだ。
恐らく名人というものは一般庶民の域に降りていって、不特定多数の大衆を喜ばせることが
できる人のことなのだとおもう。落語が大衆演芸である以上、「判らせる」ことができるのは
重要な能力だろう。
だが天才はそもそも判らせる必要などないのだな、と談志の噺を聞きながら思った。
理解可能な少数の人たちさえいれば(あるいはまったくいなくても)それで十分なのだ。
天才は孤高であるとは聞いていたが、その理由が良く判った気がした。
やはり談志は天才なのであった。


今年の予定の一つは落語と歌舞伎をたくさん見ること。
できれば十八番と言われるような名人芸をたくさん見てみたいと思っている。
by ash1kg | 2009-01-03 23:48 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
by ash1kg
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