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この土日は写真的濃度の高い週末だった。 土曜日はMETA佐藤氏とようやく会うことができて、午後の数時間、写真のひたすら濃い話を することができた。 彼のことはブログで以前から存じている。 昨年の「写真新世紀」で佳作入選したと知ったときには、大急ぎで都写美まで出かけていって、 ブックを40分に渡って占領し、堪能させてもらった。 佐藤氏には昨年の写真展に来て戴き、会場ではすれ違いになってしまったものの、僕の 作った本を大袈裟に褒めていただいたこともあった。 ブログからも、写真新世紀で展示されていたブックからも、不遜な言い方をさせてもらえる ならば自分と同じような雰囲気を感じ取っていて、それが勘違いなのかどうかを確かめたい という気持ちがあった。結果から言うなら、僕の予感は概ね正しかった。 写真とは、カメラとは、と考えるとき、木材で小箱を作ることに言い換えるならば、写真は 釘であり、カメラは金槌なのだと僕は思っている。別に釘が接着剤に変わっても構わな いのだし、金槌がドライバーに変わっても箱ができるのであればそれでいい。どれだけ 立派な金槌があったとしても作るモノを決めないで釘を打っているのでは、仮説のない 実験のようではないかと思うのだ。 写真に囚われないというか、写真という先入観に封じ込められないようにするという感覚は 互いに共通していた。見下す、バカにするというといささか語弊があるけれど、不必要に、 過剰に写真を祭り上げないという覚悟は彼の中にもしっかりとあった。 そしてもう一つ共通していたこと。「本を作るという行為」。 美しいだけの写真を並べただけでは、本作りは途中で間違いなく破綻する。佐藤氏は 既存のファイルに放り込んだブックを表して「採集標本」と呼んだ。 僕は小綺麗な光景だけを拾って歩く今時の写真の手法を否定するわけではないが (それがどこにも辿り着かないことは知っているのだけれど)、どこかでそのようなやり方を 「コレクターっぽいな」と感じていたのも事実である。佐藤氏の口にした「標本」という言葉に 「それだ!」と反応してしまったことは言うまでもない。 彼が仕事の都合で東京に留まっている間にもう一度会いましょうという約束をした。 何かを作ることに深い欲を持っている人が減ったなあと感じていただけに、佐藤氏とまた 濃い話をすることがいまから楽しみで仕方がない。 そして昨日の日曜日は、いつもお世話になっている入船の師匠の写真を拝見しに、 tae-koちゃんと一緒に横浜の赤レンガ倉庫で開かれていた「第7回プリンターズ展」へ。 前日、佐藤氏と「写真の表面的な綺麗さだけじゃどうにもなんないよね」なんて言っていた 舌の根も乾かないうちに、協会に加盟されているプリンター諸氏のプリント技術の凄さに 圧倒され、打ちのめされ、言葉をなくす。日頃、モノクロでしか写真を作らない僕にして みれば、カラーのプリントにノックアウトされるのは予想外であった。 これから先も意思を伝達する道具としては、僕はモノクロ写真を選び続けるのだと思うが、 経験の一つとして、引き出しの一つとして、カラープリントも身につけたいと素直に思った。 今年の予定がまた一つ増えた。 夕方からは原宿のデザインフェスタで友人達が開いていた写真展①. maru-ichi-ten」へ。 こちらは小難しいこと一切抜きで、写真が大好きという空気で満たされたポップで、(ネガ ティブな意味ではなく)キッチュな写真展だった。もはやそれだけでは済まなくなってしまっ た僕にしてみれば、どこかしら懐かしい光景であった。
by ash1kg
| 2009-01-19 12:36
| 写真日記
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