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プリント売ります
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アメリカ人の友人の住まいを訪れると、それほど広くない ―― といっても日本の住宅事情からすれば
十分に広いが ―― 軍用の借り上げ住宅でも、必ず写真が飾ってある。入隊したときの正装の写真や
家族写真、L判のスナップ写真まで壁一面に写真が飾られている。
玄関やトイレに飾られている写真が格好良いモノで、「これ誰が撮ったの?」と聞いたことがあった。

「ああ、それ、買ったんだよ。誰が撮ったのかは知らないけど、気に入ってさ」

洒落てるなあ、と僕は感心した。
だが、それはセンスの良い写真が飾ってあることよりも、どこかで偶然見かけた1枚の写真を「気に
入った」と言って買い求め、飾るという一連の行動に、特別な日でもないのに花屋で花を買って帰る
サラリーマンのお父さんみたいな格好良さを感じたのだ。



これほど写真が身近な日本で、どうして「買う」「買って飾る」という部分だけが抜け落ちているのか、
かなり以前から僕は不思議に思っていた。
「芸術」という先入観が敷居を高くしているのか、「アート作品=高価」という図式の中で写真が遠い存在に
なってしまっているのか、はたまた、そもそも飾るか集めるかしか行く道のない写真などにそれほどの
価値は見い出せないのか。
どれも正解であるような気もするし、同時にどれも何か違っているような感覚もある。

迷ったらまず実践と、ツテを頼って自由が丘のポパイカメラさんに相談したところ、委託販売という形を
快く引き受けて戴き、5月28日から店頭の一部にプリントを置いてもらえることになった。
販売するのは日頃からお付き合い戴いている写真仲間11人のフィルムからのオリジナル・プリント。
カメラと写真が大好きで、作品という自負を持ちつつも、利益など度外視してあえて廉価で販売することに
同意してくれた皆さんである。
見ず知らずの誰かが自分の写真を気に入ってくれて、自分の知らない場所で飾られたりしたら、
ちょっと素敵だよねと考えてくれたのだろう。僕はそう思っている。

生のプリントを見る機会は写真展ぐらいしかないのが現実だ。しかも壁に括り付けられた写真に顔を
近づけ、見るのが精一杯である。だったら、「売る」という場を介して、手にとってプリントを見てもらう
機会が増えるのなら、それも決して悪くないなと考えた。
もちろんシビアに見られる可能性はあるわけだけれど、我が友人のように、理由もなく気に入って
くれる人だっているかもしれない。もしかしたら誰かにプレゼントされたりするかもしれないし、小さな
カフェの壁を飾ることになるかもしれない。

いずれにしても中古レコード屋でお気に入りの1枚を探すようにプリントが眺められて、プリントが棚や
箱から抜き出されてカウンターに運ばれていくのだとしたら、選ばれたその1枚は ―― それがどんな
理由で選ばれたにせよ ―― なんて幸福な写真なんだろうと、僕は思う。

お近くにお出かけになる機会がありましたら、ぜひお立ち寄りください。

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ポパイカメラ
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘2-10-2 (MAP
(東急東横線・大井町線 自由が丘駅 正面口 から徒歩2分) 

[営業時間] 平日 /10:00~20:30  土日祝/11:00~20:00
[定休日]水曜日

※販売は5月28日(木)より
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by ash1kg | 2009-05-21 18:29 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
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