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夕方から3時間と少しの時間をかけて、何かと話題の「1Q84」のBook3を読み終えた。 物語の感想などはそれぞれ違って当たり前のことだから、僕の個人的な意見は書く気がしないので、 これから読む人はご安心を。 さて村上春樹であるが、僕がデビュー作の「風の歌を聴け」を最初に読んだのが1980年(出版の翌年) だから、まあ「同時代」の作家と呼んでも大きくは間違っていない(と思う。年齢はずいぶん違うけれど)。 いわゆる「ハルキスト」だとは思わないが、彼の作る物語は僕にとっては非常に親しみやすく、シンプルに 面白いと今でも思う。当たり前の世界から不可思議な世界へいつの間にか入り込んでしまうという村上 春樹の物語世界には中毒性があるというところだろうか。 一方で「村上春樹は嫌い」「村上春樹の小説が面白いとは思えない」という声をよく耳にするのも事実。 全員が全員、面白いと感じる方が不気味だし、それはそれで良いのだと思う。楽しめる人さえ楽しめれば それで良い。僕も判った気がすることもあったし、てんでお手上げだったものもある。それは特別なこと ではなく、普通のことなのだ。 もし、「読みたいのに読み通せない」という人がいるのであれば、そういう人には「とりあえず『そういうもの なのだ』と受け入れて読んでみたら?」とアドバイスするだろう。羊男が出てこようが、壁を通り抜け ようが、どれだけ不条理で現実離れしていても、これはそういう物語なのだと受け止めて読めば、 もしかしたら少しは面白く読めるのではないかと。 大方の『表現』なるものは観念なるものをどうにかして具現化することにあるのだし、それは村上春樹の 小説も同じはずだ。 であれば、いちばんの面白みはその不条理さが何を指し示しているのかを読み解くことにあるはず。 もちろんそういう小難しいことを考えなくても、気がついたら物語の中のヘンテコな世界を彷徨っている 浮遊感というのは心地よいものであるのだけれど。
by ash1kg
| 2010-04-21 00:46
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