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今年1回目の麦茶を作った。 今では水に放り込んでおけばできてしまう便利なティーバッグみたいな麦茶もあるけれど、 僕はいまでも粒から煮出して作るアンティークな作り方をしている。 手間はかかるが焦がした麦の香りも色も、濃さも煮出したものには敵わない。 子供の頃、遠足に持って行く飲み物は冷やしたほうじ茶か麦茶ぐらいしか選択肢がなかった。 どの家でもお母さんが麦茶を作り、水筒に詰めて子供に持たせていたものである。 僕の母もそうだった。 前の晩からお湯を沸かし、麦粒から煮出したお茶を一晩かけて冷やし、翌朝出かけるときには 冷えた麦茶を持たせてもらっていた。 友達たちの水筒の中身と一つだけ違っていたことがある。母の作る麦茶は甘かったのだ。 「遠足に行けばたくさん歩くから、甘い方がいいでしょ?」 と、母は言っていたが ―― それは今の常識ではとても正しいのだが、母が当時からそれを 知っていたとは思えない。 おそらくは山仕事をしていた祖父に祖母が甘いものでも持たせていたのを見聞きしていたのでは ないかと思う。 ともかく僕の甘い麦茶は同級生の中でも例外中の例外で、あるときは自分で一口も飲むことなく 水筒が空になってしまったことがあった。 煮出した麦茶を漉しながら、幼い頃の光景を僕は思い出していた。
by ash1kg
| 2010-07-06 00:34
| 写真日記
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