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ページの中へ潜る
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先週の中頃から1冊、本を作っている。
ちょっとした必要があって、写真を並べ直す作業と、データを作る作業に日々の多くを費やしていた。

写真が好きかと聞かれたら、僕は若干の迷いを抱えたまま「YES」と答えるのだと思う。
だが「いちばん好きか?」と聞かれたら、即座に「NO」と言うはずだ。
もちろん興味が無いわけではないけれど、僕にとってはやはり写真はカメラやレンズ、あるいは他の道具 ――
例えば包丁であるとか、万年筆であるとか ―― と同じように、一つの道具なのだ。
有能で、雄弁であることについては異論はないし、確信もあれば、信頼もしているけれど、だが他の何ものにも
代え難いというほどまでプライオリティは高くない。
やはりいちばん好きなのは、写真を使って本にまとめているときなのだと思う。

今日も午前中からずっとページの入れ替えをしたり、見直しをしたりして過ごした。
160ページ程度の分量なのだが、それでも100枚前後の写真を破綻無く、矛盾なく、飛躍もないように気を
配りつつ1冊の本にまとめるためには相応の体力が要る。
客観と主観を同時に働かせながら、なおかつまだできてもいない本の中へ没入して、語りかけてくる写真の
超えに正しく反応しなければ、組み上がった本は何かしら違和感のあるものなってしまう。
イメージの世界の中でIMAXシアターの映画を観ているように、目の前の世界に没入していくと、自分の状態が
良くて、幸運に恵まれると、ある瞬間に写真の束をどう並べるべきかが瞬時に「判ってしまう」瞬間がくるのだ。
それがいちばん楽しいのだと思う。

今日、午後になってその瞬間が来た。
取り憑かれたように写真を並べ替え、気がついたら知らぬ間に1時間が経っていた。
自分の感覚では3分ほどの時間ぐらいにしか感じなかったのに。
おかげで良い本ができた。
by ash1kg | 2011-01-17 01:07 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
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