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『本』を作るということ/写真展まで49日
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今月の初旬にBlurb.comにオーダーしていた『ニューヨーク本』が今日届いた。
このWEBサービスを使って本を作るのはこれで2度目だが、父との旅行をまとめた前回のモノが、言わば
「写真集」であったのに対して、今回は「本」として読まれることが大前提である。

左開きの文化の国のサービスで、むりやり縦書き/右開きの本を作る。
僕にとって本を読むということは、縦書きの本のことなのだ。
そしていくつかの工夫をして、できあがったものは予想以上に良い出来だった。

津波の被災地では、富士フィルムが泥や海水を被ってしまった写真の戦場方法を教えて回ったり、洗浄用の
バットやお湯を沸かすためのコンロを提供しているのだという。
洗浄された何万枚もの写真から思い出の写真を見つけ出し、喜ぶ姿を見て、思い出というものは記憶だけ
では不十分なのだなと感じた。

写真とは何なのかと考えることがある。
いつも堂々巡りで答えなど出ないのだけれど、撮らなければ始まらないというのは間違いのないことで、
それを信じて撮りつづけてはいる。そのことには迷いはない。
いつも迷うのは写真の出口、着地点、終着点とは何なのだろうというところだ。
現像を済ませたりハードディスクにデータを移せば終わりなのか、Flickrやブログにアップすれば終わりなのか。

僕は常々「写真はプリントしなきゃ」と言っているのだが、実際のところフィルムにしてもデジタルにしても、
すべてをプリントするのはほとんど不可能だ。
僕の場合は、プリントを作られることのないままに終わってしまうであろう写真に対する言い訳のように ――
ある意味では謝罪であり、ある意味では供養であるかも知れない ―― 本を作るようなところがある。
他人の目にどう写るかもとても大切なことだと思うけれど、同時に今の自分の気分や好みに正直に、自分の
写真を本にまとめるというのは、思っているよりもずっと貴重で、大切なことのように思う。

何より、この先どれだけ電子書籍が普及したとしても、自分の名前が入った本は、最後の最後の最後まで
自分の部屋の書棚に残り続けるはずだ。
そういうものであろう。

ともあれ、これでようやく5年前の旅はようやく決着した。
そしてこれはまた始まりでもある。

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ずいぶん前からこの本を欲しいと仰って戴いている方もいらっしゃるので、
いま、お譲りする価格を検討しています。
決まりましたらまたこちらでお知らせし、写真展の会場ででもお渡ししたいと思ってます。
しばしお待ち下さい。
by ash1kg | 2011-04-19 00:27 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
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