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コンタクトシートは語る
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ずいぶんとサボってしまった。

先日、出かけたついでに銀座のリコー・リングキューブで「マグナム・コンタクトシート」展を見てきた。
マグナムは言わずとしれた報道写真家集団で、彼らのコンタクトシートは大判の書籍として販売もされている。
今回の展示はその書籍に収録されたコンタクトシートを拡大したものが中心になっていた。

どれだけ高名な写真家の写真であっても、撮影されたすべての写真が世の中に開示されるわけではない。
我々の目に触れるのはたくさん撮られたモノの中から最終的に選び抜かれた数枚の写真だけだ。
写真は完全な客観の上には成り立てない。撮影者の考え、意図、バイアス、様々なものによって選ばれ、撮影され、再び選ばれた上で世界に開陳される。
写真は撮影者自身を現すと言っても、我々が目にするのはそうしてある意味作為的に組み立てられた結果であり、言わば化粧され、身なりを整えられた写真家の姿なのだ。

「コンタクトシートを見られるのは裸を見られるより恥ずかしい」と誰かが言っていたが、まさにコンタクトシートは写真家の本音であり、何に関心を惹かれ、何に興味を持ったかまでを暴露してしまうものなのだから、恥ずかしくて当然だろう。
そういう意味では、僕はリングキューブでかなりの写真家のヌードを見たとも言える。
それは「作品」として体裁を整えられたモノよりも生々しく、写真家自身の素の言葉 ―― しかも口数が多い ―― を聞いているようで、強く心惹かれるものでもあった。

デニス・ストックのジェームス・ディーンを撮影したコンタクトシートや、ルネ・ブリが撮影したチェ・ゲバラのコンタクトシートなんてそのまま飾りたいぐらいのもので、チェック用であり、選出用の道具でしかないコンタクトシートがやたら格好良く見えたのだった。


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展示してあるコンタクトシートの多くが5コマ7段で焼かれていたのだけれど、5コマでカットするというのはよくあることだったんだろうか?
確かに印画紙を横使いする6コマ6段よりも、5コマ7段の方が見やすそうで、そういう実用的な面からそのコマ数になったのかなとも考えたが、はっきりとしたことはもちろんわからない。
by ash1kg | 2012-04-07 12:07 | 写真日記
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by ash1kg
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