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近況報告。
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ブログでも書いたモノと思い込んでましたが、ふと気が付いて過去のエントリーをさかのぼってみたら近況報告をまったくしていなかったことに気が付きました。
リーマンショックのあおりを受けて4年前に退職勧奨を受けて会社を辞めて以降、紆余曲折、艱難辛苦、臥薪嘗胆をどうにかくぐり抜けて、ご縁があって昨年の11月より福島・いわきの「コールピット」というギャラリー&暗室で仕事をしています。

とは言ってもいわきに常駐しているわけではなく、毎週木曜日の早朝からいわきに出かけ、土曜日の夜に帰京するというパターンで、毎週あちらで3日間、写真展が開かれていればギャラリーの管理や聞かれれば展示作品の説明をしたり、暗室作業のレクチャーをしたりといったことをやってます。
とは言っても財団法人が写真文化の発展と継承に寄与するべく運営しているギャラリーということもあって、暗室なので、一般企業のように「売上がー」とか「目標がー」ということに目を血走らせることもなく、のんびりと運営に携わっています。

いわきというところは日本でも2番目に面積の大きな市だそうで、内陸部は炭鉱、沿岸部は漁業で成り立っていたんだそうです。
炭鉱の衰退とともに地域経済は衰退してきたそうですが、それでもいわきの駅前には5~6階建てのビルが並び、地方都市っぽさが見て取れます。
震災以降は原発の事故収束と廃炉作業のために作業員の人たちが過ごす拠点にもなっていて、沿岸部からは津波と原発事故から避難してきた人たちで人口は増えているのだとか。極めて小規模ですが、鍛工の衰退以来の「バブル」になっているらしいです。
震災直後には陸の孤島となった上に、原発事故が混乱に拍車を掛け、空き巣やら強奪など、報道されない事件が数え切れないほどあったと聞きました。昔は玄関に鍵など掛けなかったそうですが、ギャラリーがオープンしたての頃はお昼を食べに出るのに路地を歩いてるだけで「なにしてんだ?」と警戒感満載で声を掛けられることもありました。車で移動するのが基本の地方都市で、見慣れない人間が裏路地を歩いているのはさも奇妙なことのように映ったようです(今では多少顔見知りも増えて、そんなことはなくなりましたが)。

いわき通いが始まった頃はモニタリングポストの空間放射線量もやたらと気になりましたが、今ではモニタリングポストの数値を見ることもしなくなりました。
数値は東京の3~4倍を示してますが、それが塩の結晶1粒と4粒の差なのか、東京ドーム1杯分と4杯分の差なのか、まったくわからないということも気にならなくなった原因の一つ。何より目には見えない放射線を除けば間違いなく東京よりも空気はきれいで、あれやこれやが混ざってるけど放射線の少ない東京の大気とどっちがどうなんだろう?と思ってしまったり。

それでも4~50キロ先には剥き出しの使用済み核燃料プールがあるのも現実で、大きな余震が起きて原発に影響が出たらと思うと、毎週東京に帰ってきたときには「今週も無事に生きて帰ってきた」と思わずにはいられません。地元の人たちは頭の中では思っていても、なかなか口には出しませんが、誰もが同じようなことを考えているんだろうと。

でも地元の高校生・高専生たちはどこにでもいる若者そのもので、いかにしてこの場所を出て行くか、そのために何をするかに懸命になっている感じです(そういう意味ではものすごくマジメ)。
だからといってマジメ一辺倒の堅物ではなく、10代の子たちそのもののバカさや軽さ、うわついた暢気な考え山盛りで、話していても笑ってしまうことばかり。親愛の情を込めて「バッカだなあこいつら」と思うことばかりです。

フェイスブックなどのSNSでは近況を都度書いてましたが、こちらしかご覧戴いていない方にはすっかり報告が遅れてしまいました。3年半、多くの人たちに励まされたり、相談に乗ってもらったりして、すごく助けてもらいました。毎週、生命の危険と少々近いところで過ごしつつも、おかげさまで僕は元気です。
いつ何があっても後悔がないように、やりたいことはやり、会いたい人に会い、話したいことを話しておこうと思ってます。
以上、遅すぎる近況報告でした。
by ash1kg | 2013-05-08 14:31
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影と光、記憶と個人的な記録
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