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写真にタイトルなど要るのだろうかと常々思っている。
僕は写真が事実をすべて写しとれるとも、真実を漏らさず語れるとも思ってなくて―― もちろん事実や真実が皆無だとも思っていないけれど ―― 写真は写真でしかないのだと思っている。 「タイトル+写真」という構造で表された写真を見るとき、僕はどうしてもタイトルで方向付けされたイメージと写真から連想できるイメージが合致する最小公倍数を探してしまう。写真とタイトルという2つの材料から再構築された1つのイメージを見ているに過ぎない。それを解釈という。 仮に写真そのものが撮影者の意志や意図を正しく伝えることができる能力を有しているとしよう。もし伝達能力があるのであれば、そもそも写真にタイトルは要らない。逆説的に言えばタイトルが必要な写真はそれだけで写真としてはなんらかの欠落があることを証明してしまう。 1枚の写真が、タイトルが先にあって後から撮られたものなのであれば、タイトルと写真は撮る側の意図を見る側に正しく伝える材料となるだろう。だが、もしそれが「たまたま」撮れてしまったモノに後付けされたタイトルだったとしたら、写真を撮った瞬間の意図はタイトルには反映されることはない。さらに酷いことを言えば、撮影者はタイトルを付けることによって見る側の解釈をミスリードすることもできるのだ。 軽い気持ち半分、やるなら徹底的にという気持ち半分で始めた写真だったので、僕は解釈という曖昧な領域から写真を解放する方法はないものかと本気で考えた(もちろんそんなことはできないのだけれど)。その手始めに僕は写真とタイトルを分離する方法として、撮った場所と時間をタイトルの代用品にするようになったのである。
by ash1kg
| 2007-06-02 23:21
| 寫眞萬手控
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