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久しぶりに会うかつての仲間と横浜で昼飯を食べた後、こっちのヨドバシカメラにも印画紙の 在庫が残っていたことを思い出して暗室用品売り場に寄ってみた。 デジタルカメラ一辺倒になっているいま、暗室用品売り場が混雑しているなんて見たことも なく、いつ行ってもガラガラというのが当たり前の光景なのだが、今日は珍しく現像薬の棚の 前に高校生とおぼしき制服姿の少女たちと40代半ばの先生らしき人がいた。 僕はさっさと目的の印画紙を見つけてほくそ笑みつつ彼女たちの後ろを通り過ぎるときに ちらっと様子を見てみた。すると、彼女たちはイルフォードのペーパー用の現像液と1- ストップバスのどちらを買うかで悩んでいる様子だった。 言うまでもなくこんな悩み方は通常あり得ないのだけれど、どうやらプリント(というか引き 伸ばし)を初めてやるらしい。先生も写真は撮るけど現像はラボ任せというタイプのようで、 どれを買えば良いやら見当も付かない様子だ。 レジで会計を済ませている後ろに薬品のボトルを持った先生が並んできたが、彼が手にして いたのは現像液だけだった。 困惑する彼らの様子を見て、去年、高校の教師をしている友人から聞かされた話を僕は 思い出していた。 いまや高校生の間でも写真の中心はデジタルカメラだそうで、写真部は残っているけれど 誰も引き伸ばし機の使い方も知らないのだという。昔なら部室には暗室と水道設備、乾燥 用の台やフェロ掛け用のドライヤーがあったものだが、友人の勤める高校では写真部の 部室はコンピューター室で、部活の中心はPCで加工した画像をプリンタから出力すること なのだそうだ。 その話を聞いて「そりゃ銀鉛写真も衰退するはずだなあ…」と嘆いたのだが、生徒達はとも かく、顧問をしている先生まで知らないとなってはもう救いようがない。せめて「写真部」の 看板を掲げるのなら、 ―― 使う使わないはともかくとして ―― 最低でも1度はフィルム 現像と引き伸ばしを経験しなくちゃまずいんじゃないかと僕は思う。 衰退の原因のひとつを目の当たりにして若干凹んだ気分の中、今日、1本の濃縮現像液を 手に入れた彼らは学校に帰ってどうするんだろうと思ってしまったのだった。 「フィルム現像用の定着液があるから、今日は現像液だけが必要だったのさ」ということなの だと好意的に考えようとしたが、現像液と停止液で迷っていたことを考えると、その可能性は 低い。現像液に入れたあと、彼らはどうするんだろうと考えるとまた気分が滅入るのだった。
by ash1kg
| 2008-05-11 02:31
| Rough Side
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