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京都から京阪電車、叡山電鉄、ケーブルカー、ロープウェイ、バスを乗り継いで「ようやく」辿り着いた 果てに比叡山はある。 よくもまあこんな山中に…と一観光客としては考えてしまうのだが、徹底して俗世から離れなければ 天台密教の奥義は究められなかったということなのだろう。 であるがゆえに、この地は人を寄せ付けない、ある意味では観光という名目で訪れる人間を部外者 扱いするような雰囲気が漂っているように感じた。無論、この地が人に見せるためではなく修養の場だと 考えれば当然のことなのだが。いずれにしてもここは観光地というよりも学校に近い雰囲気があった。 それにしても、だ。 比叡山が1200年にわたって綿々と続いてきた理由・要因は何なのだろうかと、境内のベンチに座り、 しばし考えてしまった。 延暦寺が排出した幾多の名僧の向こう側にはその境地までたどり着けなかった何十倍もの僧侶が いたはずで、名もなき彼らを比叡山へ引き寄せた、そして今日まで延暦寺を途絶えさせずに生きながらえ させてきた理由とはいったい何なのだろうと考え込んでしまったのである。 「信仰」という2文字をもって答えとするのは簡単なことだ。 だがそんなきれい事だけでは片付かない、もっとドロドロとした権力闘争のような ―― ある意味では 俗世より遙かに俗世めいたものがあったのではないか。根本中堂の堂内に並ぶこれまでの名僧の 人形や肖像を順に眺め、彼らの表情を見ているうちに、そんな直接的な欲望が比叡山を支えてきた 一つの要因ではないのかと、ふと思ったのであった。 「政治も科学も、ある意味では宗教みたいなものだ」と教えてもらったことがあるが、仏教によって人々を 救済するのだという理想の一方で、天台座主に就く、天台密教のトップに君臨するという多くの野心 (それにともなう暗闘)が両輪となって延暦寺が続いてきたのであれば、その姿は永田町で見かける 政治家の姿と面白いほど似ている。
by ash1kg
| 2009-09-24 00:12
| Rough Side
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