人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
幸福の欠片
幸福の欠片_c0123210_0191953.jpg


数年ぶりに懐かしい友人から電話がかかってきた。
お互い仕事やらなんやら、さまざまな環境の変化があって、近況報告のような
会話とも言えない会話に終始してしまったが、ともあれいまを無事に生きていることは
何事にも代え難いくらいに幸せなことなんだろう。

世界にある幸福の総量は予め決まっていて、世界中で幸福の奪い合いをしているのだと
僕は昔から思っている。
だから世界から争いが消えることはないし、幸福な人間がいる一方で、あり得ないほどの
不幸に苛まれている人々がいる。

幸福ってなんだろうと聞かれて、僕は率直に「何事もなく一日が無事に終わることだと思う」と
言った。
不安もなく夕餉を食し、穏やかな気持ちで眠りに就く。そんなささやかなことがいちばんの
幸福なのではないかと思うようになった。
友人は大笑いしたけれど、考えてみれば僕が子どもの頃から何より好きだったのは
一日が無事に済んだことに感謝して、夕方、畑に響く教会の鐘に祈りを捧げる夫婦を描いた
たった1枚の絵だった。

ミレーの「晩鐘」。
あの絵に描かれた光景を幸福というのだと、いま僕は思っている。
by ash1kg | 2010-03-05 00:32 | 写真日記
<< 競争とは熾烈なのだという勘違い 霧散するゴールデンウィーク >>



影と光、記憶と個人的な記録
by ash1kg
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31