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写真展をやるたびに「写真の美とはいったい何なのだろう」と考える。 もちろん100人いれば100人の美の基準があり、そのどれもが正しい。 だが、これまで相当の写真展を見てきているけれど、僕の記憶にいまでも残っている写真はほとんどない。 その一方で絵画展で見た絵の多くは今もしっかりと記憶に残っているのだ。 これはどういうことなのだろう。 絵画展で展示される絵は時間の洗礼を十分に受けているということもあるだろう。 何度も何度もふるいに掛けられ、残るべき物だけが残っている。 今、その絵を観る僕達の心を鷲づかみにしたり、揺るがしたりする何かを持っているから残ってきたということだ。 では僕達の目を奪う魔法の粉のような物はいったい何なのか。 「これだ」と言い切ることができないのが甚だ悔しいが、それはおそらく表面的な美しさだけでは足りない何か なのだ。 視覚だけではなく、エモーショナルな部分にダイレクトに届く何かがあるからこそ、その1枚は観る人の心に 届くのだと思う。 「書も楷書だけじゃやっぱりつまらない」と印鑑彫刻師の斎藤江湖さんも仰っていたが、表層的な美がすべて ではないというのは写真も書も変わりがないらしい。 もちろん如何に美しい楷書を書くかという基準があって良い。そこには競うべき美が間違いなくある。 だが僕がそれを目指したいかと言えばNOだ。 僕はやはり揺るがない何かから生み出されるもの、下手で汚くて、だけど最強というものを作りたいのだと 思う。ストーンズの二人のギタリストのように。 --------------------------------- 今回の展示を振り返ると、視覚表現の枠からまったくはみ出ることなく ―― それどころか枠の中に押さえ 込まれてしまったように思う。それは僕の未熟さゆえの失敗で、せめてもの抵抗が僕が好む色合いにプリントを 作り、お茶を濁したという感じもする。 いくつかの実験はできたものの消化不良の感は否めない。 --------------------------------- 写真展も残すところあと1日。 明日は撤収のため、17時閉廊になります。 正午から観られますので、おいで戴ける方はお早めにお越し下さい。 「f3.5 ローライによる写真5人展」 2010年8月31日(火)~9月12日(日) 会場/根津 りんごや
by ash1kg
| 2010-09-11 23:52
| 写真日記
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