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旅に焦がれる
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友達の写真展を見に夜の町を自転車で駆け抜け、世田谷まで出かけてきた。
見知った顔が夜な夜な集まってくるような適度に狭く、居心地の良い空間に彼女たちの写真がおよそ30枚。
相談した結果なのか、青を基調にした旅の写真が並んでいる。

写真は「大きく、多く」が僕の揺るがぬ基本的な考えではあるけれど、それよりも優先すべきなのは場所と写真が
ミスマッチを起こさないこと、バランスを保つことにあると思っている。
彼女たちの写真は ―― 写された光景自体が旅に焦がれる僕にとっては眩しく、懐かしく、羨望も含めてすべて
好ましい写真であったということを差し引いたとしても ―― 空間の大きさと写真のサイズ、店内の光と写真の
青さの色合い、何を見せるのかというバランスが実にいい具合に取れていて、店の中自体が気持ちの良い「場」に
なっていた。

旅の写真を見るのが好きだ。
それが作品というようなモノではなく、ただの「記録」だったとしても、そこには何かしらの物語があり、ドラマがあり、
強い印象がある。
日常とはまったく違う精神状態で、目を向けるモノすべてが新鮮に映り、普段と同じように撮っているつもりでも、
まったく違ったものが撮れていることが当然のようにある。
それは後付けの発見であり、第二の旅でもある。
そして僕のような他者がそういった写真を見たとき、旅をした当人とは違う擬似的な旅を追体験するのだ。

ただ淡々と自分が良いと感じる光景を撮り集めた彼女たちの写真は、変に流行に迎合することもなく、記録に
徹するわけでもなく、穏やかで優しげな目線の表れでありつつも、どこか凛としていたと思う。
そのある種の潔さが場の雰囲気と相まって、実に気持ちが良かった。

帰り道にiPodで聴いていたスティーブ・ウィンウッドの曲が写真のイメージを増幅するような感じがした。
いま、また同じ曲を聴いている。
まるでこれまでの旅を振り返っているような、そんな気分だ。


Photo Exhibition - 旅空 - (cafebar LOCO/宮の坂)





by ash1kg | 2011-02-17 01:38 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
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