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ニュージーランドの地震/矛盾する二つの考え
22日の午前、クライストチャーチで起きた地震で救助活動のニュースが途切れることなく報じられている。
お恥ずかしい話だが、今回の地震が起きるまでニュージーランドが日本と同じような地震国だということを
まったく知らなかった。
しかもニュースでの解説によれば日本よりも複雑な動きをするプレートの上に乗っていて、北島と南島では
沈み込む方向が違うのだという。きっと地震予知の研究もやっているのだろうが、これでは日本より格段に
予測は難しいだろう。

中東で地震が起きる度に崩落したレンガ作りの建物が映し出されて、映像をみるにつけ、経済的発展が
進んでいない国での被害はこうも酷いものかと思って来たのだが、今度の地震での建物の崩れ具合は
ちょっと異常ではないかと思う。
震源が浅いとか、そういう原因もあったのだろうが、ニュースで報じられる映像は、まるで普段地震とは
縁のない地域で突然起きたような崩れ方をしているように感じる。
地震に対して強い警戒心を持っている日本人の目で見るからなのかもしれないと思う一方で、耐震工事など
日頃からもう少しできることはあったのではないかという印象も拭えない。

いつのことかは判らないが、いずれは東京で同じような規模の地震が起きることは間違いない。
日頃は感じないけれど首都圏の直下で地震が起きる可能性は高い。クライストチャーチの映像が、かつての
神戸の映像が東京にすり替わって世界に伝えられる日は明日なのかも知れない。
僕らはそういう場所で毎日を生きている。

僕は子供の頃、極度の地震恐怖症 ―― というよりはある種の閉所恐怖症だった ―― になり、数年間、
地下鉄に一切乗れなくなってしまったことがある。
地震で地下に閉じ込められるという想像が極限に達し、駅へと下る階段の上に立っただけで顔は真っ青、
全身が冷や汗でびっしょりになるという状態になってしまったのだ。
そんなわけで当時暮らしていた家からスイミングクラブまでの片道約3キロの道を自転車で通っていた。
道の途中には染井墓地があり、練習が終わった帰りにはポツポツとしか付いていない頼りない電灯の
下を通らなければならないのだが、それでも地下鉄に乗るよりはマシで、再び地下鉄に乗れるようになる
までの数年間、雨だろうが雪だろうが、ひたすら自転車で走っていた。

もちろん今は地下鉄にも乗れるし、閉所恐怖症の気は薄れているが(若干、暗所恐怖症の気はあるし、
立派な高所恐怖症ではある)、いまでも地震にはどこかしら過敏だ。地震・雷・火事・オヤジではないが、
怖いモノ連続ノミネート記録の地位は揺るがない。

そんなわけで東京に地震が来たらと想像するだけで背すじがゾッとするわけで、できる防災対策は可能な
限りやっているのだけれど、恐怖を感じると同時に「一度、東京に大きな地震が来て、めちゃくちゃになる
方が良いのかもしれない」と考える気持ちがほんのわずかだけある。
無意味に肥大し、無秩序に建てられた高層ビルを眺め、毎年上がり続ける気温に辟易としながら暮らして
いると、東京で生まれ育った身としては「リセットするには地震もやむなし」みたいなろくでもない考えが
浮かんでしまうのだ。
だが実際に地震が起きてみたら、いちばん狼狽し、いちばん役に立たないのは自分自身であることも
良く判っている。いかに自分が考えていることに激しい矛盾があるのかということも。

そろそろ日本から派遣されたハイパーレスキューの人たちがクライストチャーチに入る頃だろう。
限られた人数での救助作業で、万全とは行かないだろうが、一人でも多くの被災者を救助してもらいたい
ものだと思う。


ニュージーランドの地震/矛盾する二つの考え_c0123210_1321368.jpg

(これはただの手ぶれだが、実際に地震が起きたら、東京タワーはどれほど揺れるのだろう?)
by ash1kg | 2011-02-24 01:35 | 日々雑感
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影と光、記憶と個人的な記録
by ash1kg
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