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電子書籍ってどうなんだろう
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日本の電子書籍市場への参入を前に、amazonが出版社に対してかなり無茶苦茶な条件での契約を迫っているというニュースを読んだ。

報じられているところによれば出版社の新刊書籍をすべて本件電子書籍としてamazonに提供すること、提供されない出版物はamazonが勝手に電子書籍として出版して良いと認めること、小売価格の55%をamazonが取ること、出版書籍が電子書籍安かった場合、電子書籍の価格はamazonが同額またはそれ以下に決定すること、出版物の著作権はすべて出版社が取得すること・・・などのようだ。
「「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る」

まあ常識的に考えて相当に強引だし、黒船の例えをしたくなるのも頷ける内容だ。
今回のamazonの要求を見ていると、ペリーの脅迫・恫喝まがいの交渉を想像できる。そういう国なのだ。

僕には日本で電子書籍は普及するんだろうかという疑問がある。
そもそもアメリカは国土が日本とは比較にならないほど広いのだ。
都市部ならともかく、わざわざ車を1時間走らせてペーパーバック1冊を買いには出かけまい。
日本のように(書店の規模の差はあれ)日常的に書店に立ち寄ることができる人が大半の国とは成り立ちが違うのだ。有り体に言えばアメリカの大半はドが付くほどの田舎なのだ。

これは想像だけれど、経営破綻したバーンズ&ノーブルも、ボーダーズも都市部ではそれなりに利益を出していたんじゃないかと思う(その陰に大手の影響で商売をたたんだ独立系書店も多かっただろうが)。ただアメリカ人の大半はそういう便利な場所に住んでいない田舎者なのだ(同じアメリカ人に訛った英語を聞かれるのが恥ずかしいからと、ニューヨークで英語もろくに喋れない一観光客である僕に道を聞くような人間が実際には多いのだと思う)。
そういう条件下だからこそ電子書籍は便利なのであって、日本のようにどの電車にも必ず営業マンが乗っているような狭い国ではアメリカほどの普及はないように思う(アメリカでは営業に回るビジネスマンというものを本当に見かけることが少ない。直接行っていたら日が暮れてしまうほどに距離があり、仕事の大半は電話とメールとFAXで片付けているんだろう)

日本の出版社が立ち後れたのは事実だろう。
規模の差はあれ、ある程度のサイズで市場が形成されることは間違いないのだし、コレまでのやり方にあぐらを掻いてきた責任は多少なりともある。
だが、一部で囁かれているような「作家が直接amazonと契約したら利益が増える」というのはいささか違っていると思う。

そういう作家が出てくることは間違いないし、例えば村上春樹のような「出せば売れる」作家ならば出版社を経由せずに直接、販売店と契約した方が儲かる。
だがそれはあくまで新刊を出せば売れる作家の話だ。

印税は販売部数じゃなくて印刷部数に応じて支払われるので、デビューしたてで固定読者の少ない作家や、元々それほど数の見込めない純文学作家、更に部数の見込めない専門書や研究書籍を書いてる人は電子書籍で販売部数に応じた印税の支払いになったら収入減になる。
出版社も「出せば売れる」人の利益でどうにかやり繰りしてる状態だろうし、そこが電子書籍に流れると一気に経営が悪化して、良書であっても数の出ないものは出せなくなるはずだ。

収入が減れば書き手も減り、出版物の総量は減る。売れる一部の作家だけが生き残って行っても、広義の出版市場は衰退するのは確実だし、それは文化の多様性の衰退であるとも言える。
電子書籍が悪いとは思わないけれど、そんな緩慢な自殺のようなことをやるとはとても思えないし、そうそう簡単に習慣が変わるものではない。日本にはそれほど深く紙の文化が染みついているのだ。

そう考えると、日本の出版社も遅ればせながらでも日本スタンダードの電子書籍規格を作れば良いのだと思う。そもそも日本語で書かれた書籍がそのまま外国で売れるはずもないのだから、慌てる必要もない。印税の率を上げれば作家がamazonと直接契約なんて面倒なことにも手を出さないだろう。
右往左往せず、もうちょっとどっしり構えたら良い。

これを言うとアメリカ人の友人はものすごく嫌な顔をするし、人によっては怒ったりしょげたりするが、所詮、アメリカなんて建国250年ぐらいの歴史の浅い国だ。
「1000年前に書かれた物語をわざわざ電子書籍になんてしなくてもねえ」と言ったら、彼らはきっとものすごく嫌な顔をするだろう。
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by ash1kg | 2011-11-02 06:39 | 写真日記
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