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写真から読み取る
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(写真は数日前にアップしたものを再掲しています)

「写真の一つの側面は記録だ」と僕は思っているところが多いので、都写美などで収蔵作品を観るときなど、撮影者の美意識とか観念的なものをすべてすっ飛ばして、何が写っているのかを見つけることに懸命になってしまう。
特に戦前から終戦直後の写真にはピントが絞り込まれたものが多く ―― きっといくつかの理由で「ボケ味」なんてものは撮影者の興味の中心ではなかったのだろう ―― 撮られた当時の様子がわかるものが多い。
僕は写真の中に小さな発見をしては喜んでいる。
それは写真を読み解く ―― 撮影者の意図や写真に密かに織り込まれた意義を見抜き、受け取るよりも、写真に写ってしまっている具体的な事実の中から、ともすれば見逃してしまうような小さなことを見つける、つまりは「読み取る」行為なのだと思う。

今日は数日前にアップした写真を再掲して、写っているものを細かく見直してみた。
いささか重箱の隅をほじくり返すような感じもするけれど、古い写真を楽しみ方としては悪くないと思う。

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旧国鉄奈良駅。
Wikipediaによるとこの和洋折衷型の駅舎は1934年に完成したもので、路線が高架化される2003年まで使われていたそうだ。今は観光案内所として使われている。

写真右に煙突らしきものが写っている。
煙突は駅舎と繋がった右手の建物の裏側に立っているようだが、隣接する建物と煙突が旧国鉄の設備だったのか、別の会社のものだったのかは判らない。
線路は駅舎のすぐ後ろ側を走っていて、煙突は非常に狭い立地にあると思われる。

撮影されたのは1956年の3月末頃で、駅前を歩いている人がコート姿なのが目立つ。
中央の犬を連れている人はジャンパーか袢纏のようなものを羽織っているが、当時は飼い犬を連れて旅行をする時代ではなかっただろうし、地元の住民だろう。

中央奥の駅舎近くにセーラー服姿の女子学生の姿と、誰かの送迎のためか、駅舎の正面に4ドアの車が停められていて、車の向こうに人らしき姿が見える。道路と歩道の区別もなかったのか、駅舎に車を横付けすることもできたようだ。

車が止まっているところの路面と写真のほとんどを占めている路面との色が違うことと、中央の人が歩いているところの両側に車の轍のような痕が見えることから考えると、どうやら撮影された日は雪が降った数日後のようだ。降った翌日なら轍はもっと深くなるだろう。
おそらく気温も決して高くなかったと想像するが、写っている人に手袋やマフラーは見えない。
終戦後10年でまだ防寒用具が一般化するほど豊かではなかったのか、それとも習慣がなかったか、あるいは寒さに対して強かったのか(両親を見ていると、なんとなく寒さに強かったような気もする)。

とりあえずこの写真からこれぐらいのことを思いついた。
なかなか面白かった。
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by ash1kg | 2012-01-26 21:20 | 記録
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