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強いということ
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今日は年が改まってから初めてのいわきでの仕事から帰ってきた。
上野に着き、友達にご飯をご馳走になって、地下鉄を乗り継ぎながら、ああ今回も無事に東京に帰ってくることができたと実感していた。

僕と弟には帰る場所がない。
池袋の家はとうになく、両親は自分たちの生まれ故郷の栃木に帰ってしまっているが、僕らにとっては「行く場所」であって、帰る場所ではないのだ。
人に言うと「成長するってことはそういうことだよ」と言われる。まあ確かにそうなのだろう。
ウチの場合はそれが少々入りくみ、特殊な状況が手の混んだ織物のように絡み合っているだけで。

いわきは原発事故収拾作業の前線基地だ。
原発の作業者達が多く滞在し、ホテルを予約することは極めて難しい状況。作業員が繰り出す夜の街ではいろんな土地の言葉が入り交じり、なかなか賑やかだ。

原発から20キロ圏内にいた人たちの一部もいわきに避難していると聞く。
哀しいかな彼らもまたかなりの確率で帰る場所をなくしかねない人々であろう。

僕は今でも帰る場所がないことを哀しく、寂しく思う。それが僕の弱さであり、「傷」なのだ。
消えることも薄らぐこともなく、ただひたすら深く埋められ、見えなくなるのを待つような。
そうしたことを受け止め、抱え込み、それでも顔を上げ、前を向ける、そういう心を「強さ」と言うのだと思う。

僕は精神の弱さを身体の頑健さでカバーしてきたようなところがあるので、この数年で急激に衰えたいま、僕は非常に脆い。
いわきの町の中を歩いていても時に過敏で、ときに不必要にネガティブになることがある。
かつてはそういうことを肉体的な強さを背景に押しのけてきたのだが、残念ながらいまはそこまでの強さはない。

強いということは広く深くしなやかで静かなものなのだろう。
それを手に入れるためには、僕の場合は身体を鍛え直すしかない。
僕のような部類の人間はやはり「タフでなければ生きて行けない。優しくなければ生きていく資格がない」のだ。おそらく。
by ash1kg | 2013-01-13 01:47 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
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