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裏路地に迷い込んだ午後
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雨がいつ降り出すかと思いながら、写真で繋がった友人達と築地から佃、月島を歩き回った。
歩きながら見つけた建物に足を止め、急に広がった風景にカメラを構え、理由もなく惹かれた
路地に足を踏み入れる。




僕がカメラを提げて歩き回るのは、特別な何かを見つけ出すためではない。写真を撮る
ためだけにどこかへ出かけるなんて、考えただけでも面倒だ。
久しぶりに歩き回りたい、美味いモノが喰いたい、雰囲気の良い場所で美味いコーヒーが
飲みたい。僕が東京のあちらこちらをうろつくのはそんな程度の理由だし、カメラを持ち歩く
のはそのついででしかない。ことさらきれいな風景を探し回るわけでもなく、ここから次の
場所へ移る途中で理由もなく惹かれた何かにカメラを向けているだけなのだ。

そうして撮られた写真達をあとになって見直してみると、そこには僕が目にした街の雰囲
気がかすかに残っていることがある。街の残滓は僕の記憶と結びついて、想像の中で歩き
回った日のさまざまなことがフラッシュバックする。僕はその感覚を楽しんでいるのだ。

どうして僕は街を撮るのか。正しく言うなら僕は街を撮っているのではなく、街で撮ってい
るに過ぎない。スタジオで照明を当てて撮るわけでも、街中にあり得ないポーズで誰かを
立たせるわけでもなく、ただ目の前を通り過ぎていく光景を記憶に留めるために片っ端から
撮っているに過ぎないのだ。
一瞬で消えていってしまう日常の光景は、実は僕らの毎日にとってすべてだ。
僕が生きている毎日は紛れもなくそうした日常が折り重なって、積み重なってできあがって
いる。電柱の脇に積み重ねられたゴミ袋の山や、アスファルトに残されたブレーキの痕、
踏みつぶされた吸い殻、ビルの隙間から漏れてくる陽の光、どこにでもある撮るに足らない
日常の破片もまた僕らの毎日の一部なのだ。

そうして路地とすら呼べないような街の中のわずかな亀裂に踏み込んで行った午後。
雨が降り出したのは川を渡って戻ってきた後のことだった。

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路地裏の冒険者:tae-koさんleica_m4mさん
お疲れさまでした。また行きましょう。
by ash1kg | 2008-05-25 11:56 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
by ash1kg
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