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闇から光を、光を闇へ
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(2007.04.築地場内)

定例化した月に1度の暗室作業の3回目。
いつものようにleica氏と、今回は「SESERAGI@別館」のkawamutsu氏をお誘いしての
プリント作りとなった。




最初の2回は勘を取り戻すことにほとんどを費やした感じで、いよいよ今日からはイメージを印画
紙に植え付けていくために焼き付けの腕力を鍛えるつもりでいた。

微妙な違いはあるにせよ、目の前にあるのはモノクロのネガと印画紙、それに薬液の入ったいく
つかのバット。たったこれだけの道具にもかかわらず今日の3人ですら三者三様のプリントを作る。
僕にはkawamutsuさんのように見事に階調の整ったお手本のようなプリントでも(それは本当に
見事なプリントだった)、leicaさんのような迫力と細やかさが同居するようなプリントでもない。
あれこれと染みついてしまった手順を無意識に繰り返すようになった今となっては、他の人の真似を
することさえできない。個性と言うしかない決定的な違いは近づくことも埋められることもない。

今日は途中で手強いネガを選んでしまい、結局そのコマを焼き上げるために2時間を費やした。
9枚目の焼き付けでどうにかギリギリOKを出せるプリントができた。こういうネガは難敵であり、
手強いライバルであり、同時に自分を鍛えることができるありがたい師でもある。

写真というとカメラを持ってシャッターを切ったらそこで完了、あとはラボに現像とプリントを任せる
というやり方はごく当たり前のことだ。どこでもだれもがやっている。絵師と彫り師と刷り師での
分業が確立されていた浮世絵のようなものだ。新しくも何ともないし、それで良いのだと思う。
そういう意味ではすべてを自分でこなすこともできるモノクロ写真は貴重な存在なのだ。

自分で撮り、自分で作ったネガと対峙して、印画紙に自分の思い描いたイメージを焼き付けていく
作業は、そのほとんどが自分とネガとの対話であり、ネガに挑まれ続ける格闘のようなものだ。
自分が何を言いたいのか、ネガはどのように焼かれたいのか、それを段階露光やストレートプリン
トを作りながら確かめて行くのである。そうして僕は闇から光を取り出し、光を闇に刷り込んでいく。
光と影を武器にした格闘なのだ。

手強かったネガとは以前アップしたコカ・コーラの空き瓶の写真。このネガは雄弁だった。
ネガを組み伏せて屈服させるまで何度も何度も焼き付けを繰り返す。どこかで気を抜けばネガは
一瞬で反撃不可能な逆襲に出るのだ。僅かな妥協もないプリントを作り上げるためには受け続け、
攻め続ける体力と精神力がいる。

だが、どれだけネガと対峙して作ったプリントであっても、プリントはしょせんプリントでしかない。
僕が誰かに伝えたいと願う何かを、プリントを媒介者として伝えることができなければ、それはただの
紙でしかない。本当に重要なことは意志とか目的といった言葉にならない言葉を注意深く、慎重に
光と闇との僅かな隙間に編み込んでいくことなのだと思う。

暗幕の向こうでの5時間の暗闘。疲労が全身にくまなく降り積もった頃、入船界隈には雨が降り
始めていた。

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(普段、プリント作りをしている自室のデスク。汚すぎますね・笑)
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by ash1kg | 2008-06-22 00:46 | 写真日記
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