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胎動
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毎年、暮れになるとその1年で記憶に残っていることを10個、挙げるようにしている。
そうしてその1年が自分にとってどんな年だったのかを追想するのだ。
すでに今年は10個のうちの一つが決まっている。
先月、上野で見た井上雄彦の「最後のマンガ展」だ。

平面作品を展示することの難しさは写真も漫画も変わらない。
だが井上雄彦の展示は、多くの写真家が「良し」としてきた展示の概念を軽々とぶち抜いていた。
「やれるもんならやってごらん」と言われているような気がした。
写真はもっと考えられなければならない。
もっともっと深く考えに考え抜いて、絞りに絞り抜いて、息も絶え絶えにやっと吐き出すぐらい
写真と格闘しなければ、おそらく井上雄彦に互すことはできない。
いつ展示する機会があるのか判らなくても、それでも始めなければ間に合わない。

その手始めにまずプリント作りと格闘することにした。
印画紙上に再現される階調の整った美しいプリントは要らない。必要なのは迫力だ。
圧倒的な力には必ず美しさがある。
まずはその迫力を手に入れる。そのための試行錯誤にこの夏を費やそうと決めた。

この写真もその実験の一つ。暗室でやるのと同じことをデジタルで再現してみた。
結果は上々。何をどうしたのかは秘密だ。

(TX-400 D76(1:1) 25℃ / 9'30'')
by ash1kg | 2008-07-23 23:01 | 写真日記
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影と光、記憶と個人的な記録
by ash1kg
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